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最先端の日本酒と料理のペアリング
※20歳未満の者への酒類の販売はいたしておりません。
「日本酒のあてといえば?」と居酒屋で聞いて回ったら、ほとんどのひとが「刺身」と答えるのではないでしょうか。あまり日本酒を嗜まないひとでも、日本酒=刺身というイメージは強くもたれているかと思います。日本酒のつまみとして定番視される「刺身」ですが、なぜそういわれているのでしょうか?また、刺身以外の最適なペアリングにはどのようなものがあるのでしょうか?今回はそうした疑問に切り込んでみました
居酒屋のメニューに刺身が並ぶようになったのは、江戸時代末期だといわれています。醤油の普及にともなって刺身も大衆化し、お酒の場で愛されるようになりました。当時のことわざで「酒は燗、肴は刺身、酌は髱(たぼ)」というものがありますが、これは「酒を飲むなら燗をつけると良くて、肴は刺身が良い。お酌をしてもらうなら若い美人が良い。」という意味になるのですが、日本酒の肴は刺身一択だという考え方はこの当時からはじまったと考えられます。
ただ、一説によると当時は冷蔵技術も発達していなかったため、現代のわたしたちが嗜む刺身よりももっと生臭さかったといわれています。魚独特の生臭さをマスキングするために日本酒が合わせられていたのではないかという考え方もあるため、必ずしも最高のペアリングであることを意味していなかった可能性も考えられます。
どのような意味合いであったかは定かではありませんが、日本酒の「肴は刺身」という風習は江戸時代末期に遡ることがわかります。
ちなみに、澱が少なく淡いにごり酒には、クラフトビールなどのコクの深い重めのビールが合いやすく、澱が多く含まれている濃いめのにごり酒には、爽やかで軽快な味わいのビールが向いています。
現代では、日本酒の味わいや香りは多様化しており、「日本酒には◯◯が相性良い」のように一概に語ることが難しくなってきています。その上、日本酒はそもそもほかのお酒と比べて、歴史上ペアリングの研究があまり進んでこなかったのも実情です。
ペアリングの研究が進んでいるお酒としてはワインが挙げられますが、ワインは食材との組み合わせによっては劇的にまずくなることで知られています。そのため最適なペアリング(=マリアージュ)はどのように導き出すことができるかという研究が進んできましたが、日本酒の味わいは幅広い料理に合うため、料理との相性について考える必要性があまりなかったと思われます。
しかし、近年は日本酒が海外でも広く飲まれるようになったことから、特にソムリエとの間で日本酒もワインと同じように料理との組み合わせに高く関心が持たれるようになったといわれています。そんな中、ワインと料理の相性研究をしていた藤原正雄氏とワイン総合研究所の渡辺正澄氏は、研究によって得た知見を日本酒に応用することで「ピタピタ理論」と呼ばれる理論にたどりつきました。この理論を活用することで、日本酒と相性抜群な料理を割り出せるようになっています。次節でくわしく紹介します。
ピタピタ理論とは、「ワインと料理に相性があるように、清酒と和食にも絶妙の相性がある。」といった問題意識から開発された理論で、科学的な実験結果に基づいています。ピタピタ理論によれば、味わいは「冷旨系(さっぱり系)」「中間系」「温旨系(こってり系)」の3つにわけることができて、日本酒と食材・調味料は似た味わいのもの同士(冷旨系の日本酒には冷旨系の料理、温旨系の日本酒には温旨系の料理という具合)で合わせると、相性が良いことがわかっています。
▼日本酒のタイプわけ
タイプ | 冷旨系(さっぱり系) | 中間系 | 温旨系(こってり系) |
温度 | 5℃〜15℃ (雪冷え〜涼冷え) | 15℃〜37℃ (涼冷え〜人肌燗) | 37℃〜60℃ (人肌燗〜飛び切り燗) |
▼食材・調味料のタイプわけ
食材 | 魚 | 鯛、ヒラメ、カレイ、白魚、スズキ、アジ、フグ、カサゴ、など白身や運動量の少ない魚 | シマアジ、鮭、マグロ赤身、春カツオ、金目鯛、イカ、タコ、海老、蟹、貝類 | 秋カツオ、マグロ(トロ)、イワシ、ブリ、鯖、ハマチ、秋刀魚、ニシン、など赤身や運動量の多い魚 |
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肉・卵 | 鶏肉 | マトン、豚ヒレ肉、卵 | 牛肉、豚バラ肉 | |
野菜 | 野菜全般、生野菜、豆腐、漬物 | カボチャ、サツマイモ、ゴボウ、枝豆 | キムチ | |
油脂 | 植物油 | オリーブオイル、ゴマ油、バター | ラード、牛脂 | |
調味料 | 塩、酢、柑橘系、梅肉 | ケチャップ、ミリン、砂糖、マヨネーズ | 醤油、味噌、ソース、香辛料、カレー粉、豆板醤 | |
調理法 | 生、茹でる、蒸す | 素焼き、塩焼き、天ぷら | 油焼き、フライ、唐揚げ、煮込み |
※「料理と日本酒の相性に関する一考察」(『日本醸造協会誌』(日本醸造協会)114巻4号をもとに作成)
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