日本酒のラベルを読み解こう〜専門用語を徹底解説〜

日本酒選びの参考材料になるラベル。成分や製造年月はなんとなくわかるにしても、「純米大吟醸酒」や「山廃酛」など、よくわからない用語に困ったことはありませんか?このラベルが読み解けるようになると、実はその日本酒の特徴がいろいろわかってきて、情報の宝庫になるのです。

今回はラベルによく書いてある情報や、専門用語について紹介します。

使用原材料

日本酒の基本的な原料は米、米麹(こめこうじ)、水です。(水はラベルへの表示義務がありません。)

米麹とは米にカビの一種である「麹菌」を繁殖させたものです。麹菌がつくった酵素の働きによって米のデンプンがブドウ糖に変わり、酵母がそれを食べてアルコールと炭酸ガスに分解(発酵)します。

また、日本酒造りに使用される米は、普段わたしたちが口にする一般米を使うこともありますが、ほとんどの場合では日本酒造りに適した「酒造好適米」が使用されます。

米も米麹も、ラベルには産地が記載されています。

精米歩合

元の玄米をどれくらい削って白米に仕上げたかを、重量の割合で示した数字を「精米歩合」と呼びます。例えば精米歩合60%の場合、100kgの玄米が40kgの白米に精米されていることをあらわします。

成分

・アルコール分

お酒100mlに含まれるアルコールのml数をあらわします。一般に「アルコール度数」と呼ばれるものです。酒税法の定義により22%未満と定められていますが、15%前後が全国平均的な度数です。

・日本酒度

日本酒の比重をあらわすものです。15℃に調整したお酒に浮き秤を浮かべて測りますが、糖分などのエキス分が含まれれば含まれるほど液体自体は重くなるため、日本酒度が+になるほど糖分が少なく、−になるほど糖分が多いことを示します。日本酒度は甘辛の指標としても見られますが、甘口、辛口は糖分と酸のバランスによって変わるため、日本酒度だけで正確に甘辛を読み取ることは難しいです。

酸度

酸の量をあらわします。酸度が高いと味が濃く感じられます。一方で甘味も隠されるため、酸度の高いお酒は辛口に感じやすくなります。

・アミノ酸度

アミノ酸の量を示します。アミノ酸が多いほど味がしっかりと感じられ、少ないほど淡く感じられます。

特定名称

国税庁「清酒の製法品質表示基準」で定められている規格で、下記2つの観点によって「吟醸酒」「大吟醸酒」「純米酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」「特別純米酒」「本醸造酒」「特別本醸造酒」の8種類に分類されます。

・「醸造アルコール」を使用しているか

・精米歩合(原料の米をどのくらい削っているか)

ちなみに「醸造アルコール」とは、トウモロコシ、サトウキビ、サツマイモなどを原料として発酵させて、アルコール分45度を超えるまで蒸留したアルコールのことを指します。一般的に醸造アルコールを添加することによってお酒の味わいがすっきり軽快になる上、吟醸酒や大吟醸酒がもつ華やかな香り(吟醸香)が引き立つなどの作用があります。

酒造りの過程でこれを添加するタイミングや量は酒蔵独自のノウハウによってくるため、酒蔵ならではの味わいをわける技術の一つです。

特定名称 使用原料 精米歩合
吟醸酒 米、米麹、醸造アルコール 60%以下
大吟醸酒 米、米麹、醸造アルコール 50%以下
純米酒 米、米麹 -
純米吟醸酒 米、米麹 60%以下
純米大吟醸酒 米、米麹 50%以下
特別純米酒 米、米麹 60%以下
本醸造酒 米、米麹、醸造アルコール 70%以下
特別本醸造酒 米、米麹、醸造アルコール 60%以下

ちなみに上記に該当しない日本酒は「普通酒」と呼ばれており、日本酒全体の約7割ほどを占めています。

また、先述した成分を特定名称別でみると、全国平均値は下記の通りです。

区分 一般酒 吟醸酒 純米酒 本醸造酒
アルコール分 15.28 15.62 15.21 15.56
日本酒度 3.6 2.0 3.3 4.3
酸度 1.17 1.35 1.38 1.26
アミノ酸度 1.22 1.17 1.36 1.22

(国税庁「全国市販酒類調査(令和2年度調査分)」より作成)

出荷時期をあらわす用語

用語 出荷時期 特徴
しぼりたて 11~3月 秋に収穫される新米を使って12月から翌年1月までの冬季でつくられたお酒。
無垢之酒(むくのさけ) 3月 その年の造りの傾向を十分に把握した寒い時期に、「しぼりたて」の締めくくりとして無濾過で瓶詰めしたお酒。生まれたてのお酒本来の味わいを楽しめます。
夏の生酒(なつのなまざけ) 3~8月 冬から春にかけて搾られたお酒を一切火入れせず、低温で熟成させたお酒。フレッシュでなめらかな味わいが特徴。
夏酒(なつざけ) 5~8月 夏においしく飲めるお酒として、5~8月に出荷されるお酒。通常より酸度を高めたり低アルコールのものが多く、すっきり飲みやすいのが特徴。
ひやおろし 9~11月 春に搾って加熱処理をしたお酒を夏の間貯蔵して、秋に出荷したお酒。半年間の熟成により、旨味の乗った味わいが魅力。
寒おろし(かんおろし) 11~1月 「ひやおろし」よりも貯蔵期間を延ばして長期熟成した後、11月頃から出荷されるお酒。「ひやおろし」よりもまろやかでとろりとした味わいが特徴。
新酒 - その年に造られたお酒。フレッシュな味や香りを楽しめます。
古酒 - 前年度に造られたお酒。
大古酒 - 前々年度以前に造られたお酒。熟成香となめらかな味わいが楽しめます。

製造方法の違いをあらわす用語

日本酒造りの工程は「一麹、二酛、三造り」と表現されます。

まずは一麹といわれるように蒸米をもとに麹菌を培養してから、次に蒸米と米麹をもとに小さなタンクの中で酵母菌を大量に繁殖させます(酒母造り)。酒母造りでは、酒母の酸性を保ったり不要な雑菌を駆逐する上で乳酸が大きな役割を果たします。ちなみに「酛」は酒母を指します。最後は「醪(もろみ)造り」と言われますが、培養された酒母に蒸米と米麹、水を入れて発酵させ、日本酒のもととなる醪(もろみ)を造ります。

酒母の製法には違いがあり、主に次の3つがあります。

用語 特徴
生酛(きもと) 天然の乳酸菌を取り込んで育てるもの。江戸時代に確立された伝統的な製法で、非常に手間が掛かり、完成まで約1カ月もの時間を要します。
山廃酛(やまはいもと) 生酛の工程で最も過酷な「山卸(やまおろし)」を廃止した製法。濃醇な味わいで、燗に向くタイプが多くあります。
速醸酛(そくじょうもと) 明治以降になって確立した、現代の主流製法。人工の乳酸を使用して生酛・山廃酛に対して工程の大幅な効率化に成功し、約2週間という短期間で酒母造りをする製法です。香りが立ちやすく、軽快でさっぱりした味わいになる傾向があります。

伝統製法といわれている生酛や山廃酛では、多様な微生物のなかで強靭な酵母が育ちやすく、発酵を活発におこなうことができるため、濃醇でキレがよく複雑な味わいの日本酒ができやすい傾向にあります。

ここまで、日本酒にまつわる用語をまとめました。いかがでしたでしょうか? ラベルに書いてある内容が理解できると、日本酒選びは格段に楽しくなるはず。

次に日本酒を飲む際に、ぜひ参考にしてみてください。

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