料理から逆引き!食材がもっとおいしくなる日本酒の選び方とは?
いざ日本酒を飲もうという時、「この日本酒にはどんな料理が合うのだろう?」と考えることは多いかと思いますが、逆に料理をつくってから、「この料理にはどんな日本酒が合うのだろう?」とふと素朴な疑問を感じたことはありませんか?今回は料理に合う日本酒のタイプを逆引きできるように、アテに使われやすい食材別で相性の良い日本酒のタイプをまとめました。今晩の日本酒のお供、どうしよう?と悩んだときなどにご活用ください。
香りと味わいで分ける日本酒の4タイプ
今回は下記の4タイプで各食材に合うものを紹介していきます。くわしくは別記事「日本酒は香りで選べる!?香りを表す用語と選び方を紹介」で解説していますが、概要をこちらでも紹介します。
タイプ | 特徴 |
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薫酒 | 主に「吟醸酒」や「大吟醸酒」が該当。華やかでフルーティな果実香や花の香りが感じられるのが特徴。味わいは甘さと爽やかさとのバランスがちょうど良い。 |
爽酒 | フレッシュな生酒やしぼりたての新酒、低アルコール酒などが該当。香りは穏やかで控えめでありつつ、味わいも軽やかで口当たりがさらりとした清涼感のある風味が特徴的。 |
熟酒 | 3年以上熟成させた古酒や、それ以上の期間熟成させた長期熟成酒が該当。ドライフルーツやスパイス系のような力強く複雑な香りをもっていて、とろりした甘味と熟成によってマイルドになった酸とのバランスが織りなす芳醇な味わいが特徴的。 |
醇酒 | 純米酒や本醸造酒などが該当。素材本来の香りと、炊きたてのお米のようなしっかりしたコクと旨味のバランスが特徴的。 |
肉 x 日本酒


牛肉には、醇酒タイプを。
牛肉は旨味の強い食材なので、しっかりしたコクと旨味のバランスが良い醇酒タイプの日本酒がよく合います。その中でも特に純米酒は、米の芳醇な香りと旨味を兼ね備えているものが多いので、牛肉との相性は抜群です。グリルで牛肉の香ばしさを増したり、ソテーにして旨味を引き出したりするとなお良しです。
豚肉には、純米酒を。
豚肉の旨味は、なんといってもその脂にあります。醸造アルコールが添加されている日本酒とあわせると苦味が引き立つ場合があるため、米と米麹、水だけでつくられている純米酒とのペアリングがおすすめです。純米酒がもっているお米本来の甘味と、豚肉の脂の甘味とのマリアージュをお楽しみいただけます。豚肉は、ソテーにすると甘味が最大限に引き出されておいしさが増します。
鶏肉には、爽酒タイプを。
鶏肉は比較的淡白なので、日本酒も同様に控えめでさっぱりした味わいをもつ爽酒タイプがおすすめです。爽酒タイプの日本酒は瑞々しさがあるため、鶏独特のぼそぼそした食感にうるおいを補います。蒸し鶏にすると、適度に残った脂のしっとり感と、日本酒のさっぱりした軽やかな味わいがマッチしておいしく召し上がれます。
魚介 x 日本酒


白身魚には、爽酒タイプの軽やかさを。
味わいが淡白な白身魚には、香りや個性の強い薫酒タイプは相性があまり良くありません。サクッと軽やかな飲み口の爽酒を合わせることで、おいしく味わうことができます。フライにすると、サクッとした衣の食感とキレのある日本酒の味わいが見事にマッチして、気持ちの良い清涼感を味わいながら流し込むことができます。
赤身魚には、旨味のしっかりした醇酒タイプを。
赤身魚は、マグロやカツオのように鉄分を感じさせる強い風味が特徴的です。日本酒を合わせるなら、その風味に負けない力強さをもったタイプが良いです。ソテーや炙りにすると赤身魚本来の旨味が閉じ込められるので、醇酒のもつ旨味と重ね合わせることで味わい深くなります。
タコやイカには、スルッと流し込める爽酒タイプを。
タコやイカはゆっくり食べて咀嚼の回数が多くなるため、日本酒は口の中に広がった旨味をスルッと流し込む役割がちょうど良いでしょう。口当たりがよく飲み飽きない、軽快な味わいの爽酒は口の中をさっぱりさせてくれます。刺身に合わせる薬味によっても相性の良い日本酒のタイプは分かれますが、爽酒の場合はわさびが合わせやすいです。他には、生姜の場合は醇酒、ネギの場合は薫酒、にんにくには熟酒がマッチしやすいので、薬味を変えてみるだけでも様々な味わいを楽しめます。
野菜 x 日本酒


野菜には、焼いたり、蒸したり、生で食べたりと様々な食べ方がありますが、日本酒はそれぞれの食感に合ったタイプを選ぶのがおすすめです。例えばグリルにして食べるのであれば、野菜の甘さが引き立つ醇酒タイプとの相性が抜群です。また、生野菜には爽酒の中でも本醸造系の日本酒を選ぶと、生野菜ならではのシャキシャキした食感と爽酒特有のキレのある飲み口がちょうど良いハーモニーを生み出します。
フルーツ x 日本酒


フルーツには、華々しい果実香をまとう薫酒とのペアリングがおすすめです。季節の旬によっても合うお酒が変わってくるので、薫酒の中でもいろいろ試してみましょう。ただし、ベリー系のフルーツと合わせる際には注意が必要です。日本酒は酸度が低めのものが多いため、ベリー系と合わせると果物の酸味が強く感じすぎてしまい、味わいのバランスが崩れてしまいます。
スイーツ x 日本酒


スイーツには、重たい飲み口と甘味を兼ね備えたにごり系の日本酒が合います。スイーツの甘味と麹の甘味をそろえることで、相性の良い味わいをつくることができます。また、スイーツの甘味にスパークリング日本酒を合わせるのも、甘味と酸味のバランスが楽しめるのでおすすめです。
以上、食材と相性の良い日本酒のタイプをそれぞれ紹介してきました。いかがでしたでしょうか。基本は、食感や香り、味わいを食材に合わせていくような形で日本酒を選ぶと相性の良い組み合わせは見つけやすいので、ぜひご自身でもいろんなペアリングを楽しんでみてください。